齊藤万比古「発達障害が引き起こす二次障害へのケアとサポート」
発達障害が引き起こす二次障害へのケアとサポート (学研のヒューマンケアブックス)
- 作者: 齊籐万比古
- 出版社/メーカー: 学習研究社
- 発売日: 2009/09/20
- メディア: 単行本
- 購入: 3人 クリック: 100回
- この商品を含むブログ (4件) を見る
買おうかどうしようか迷って、図書館で借りることにした本。
この本の内容は、2008年の実践障害児教育に二次障害のケアとサポートとしてシリーズで載っていた。
(抜けている回があるが)私はコピーして手元に置いていたことが判明。
見比べる多少の加筆修正はあるものの、コピーでも十分な気がした。
当時、職場で回っていた実践障害児教育の気になるコーナーをよく印刷させて貰っていた。
大学院を卒業したての私は、実践障害児教育の内容はどれもとても興味深く…後で読もうと思ってコピーしたままになっていた。少し読んでは、放置…を繰り返してきた。なので、前半は読んだことがあった。
前半がやや硬い表現なのが残念。
文章が頭に浸透してきにくい。
この度、やっと読破することが出来た。
二次障害に対する考え方が少しだけ変わった気がする。
様々な障害との対比を見ていると、なるほどなと思う反面、
実際の臨床ではかなり鑑別が難しい。
詳細な生育歴と状態の確認が必要だ。
以下は、忘れたくないことの内容メモ。
二次障害…発達障碍児・者が環境との相互作用を通じて出会ってきた各年代に特有な発達上の危機や偶発的ではあるが重大な出来事(家族の病気、両親の離婚等)との遭遇の痕跡のうち精神障害の診断にあてはまるもの。
二次障害のタイプ
- 「外在化障害」…内的な怒り、葛藤、極端な反抗、暴力、放浪、反社会的犯罪行為といった行為上の問題に託し、自己以外の対象に向けて表現する反抗挑戦性障害や行為障害などの精神障害
●幼児期・学童期における二次障害へのケア
反応性愛着障害…各種の子どもの虐待により、乳幼児期に養育環境の安全性や恒常性が著しく脅かされ続けた結果として起こることが多い障害。
- 抑制型…他者に対する著しい愛着行動の欠如
- 脱抑制型…誰かれ構わず甘えていく愛着行動の無分別の過剰性
●PDDと抑制型RADの相違
・純粋なPDD…たとえ対人関係の形成が困難であっても、養育環境にはそれなりの豊かな関係性が存在している。
・抑制型RAD…豊かな養育環境は存在せず、顕在的には求めないにもかかわらず、どこかハングリーさを相手に感じさせるような両価性が存在する。
●ADHDと脱抑制型RADの相違
・純粋なADHD…親しい大人から要求を拒否されでも、次にその相手に会ったときに屈託なく嬉しそうに接近していく。
・脱抑制型RAD…いったん拒まれた対象と再びよい関係を結び直すことに大きな障害がある
※幼児期から学童期早期にかけての時期に経験した心的外傷となるような環境やライフイベントは、すべて反応性愛着障害を引き起こす可能性がある。
●反抗挑戦性障害と行為障害
・ADHDの見せる反抗性…衝動性の反映として理解すべき。制止に対して見せる攻撃的な反応の直後に、それを忘れたかのようにすぐにその大人に近寄って行ったり、褒められると大喜びしたりという形で現れる、気のよさや人懐っこさが優勢に存在している。
・二次障害としての反抗挑戦性障害…反抗的な態度や行為が、制止や叱責に対する衝動的な怒りの反応というにはあまりにもその水準を超えている。
・行為障害…ADHDの子どもが虐待的な環境で養育された場合にとりわけ出現しやすいとされるが、同じような環境で育てられたPDDの子どもにも生じうる。
●分離不安障害
・幼児期における強い恐怖を感じた体験や子どもの虐待のような逆境的体験、養育者の交代や死去による喪失体験、子ども自身や養育者の入院などによる別離体験などを挙げることが出来る。また、母親をはじめとする養育者側が子どもの安全が損なわれたり、子どもを奪われたりするような自体への強い恐れをもっているような場合や、子どもの存在を気遣えないほど精神的余余裕を奪われているような場合にも子どもに分離不安が高まることがある。
押さえておきたい内容だけ抜粋。
まだよくわからないことがあるので、もう少し読みたい二次障害系の本!