私の中の図書館〜ライブラリー〜

読んだ本の内容をすぐに忘れてしまうので、ストーリーや読んで感じたことを書き留めたいと思います。

末永蒼生 「絵が伝える子どもの心とSOS」(2010年)

絵が伝える子どもの心とSOS

絵が伝える子どもの心とSOS

一般向けで、読みやすい。
 
最後の“子育てに役立つ絵の見方”は、参考になるかも。


●子どもの絵には文法がある。
・人や動物や形などのモチーフは、主語であり目的語である。
・色彩は、動詞のように行動や感情を表している。
 
●色は感情のサイン
暖色系:意欲や活力など、体の働きで言うなら自律神経の交感神経に関係する色であると言えそう。前向きな気持ちや頑張りの心理と結びついている。
 
・赤…生命力を表現する。精神的には、物事に対する好奇心や意欲。健康面ではエネルギーの高さ。能力面では、得意なことが表現される。時に、怒りや不満などの感情を表す。この場合は、いい発散効果として捉えるとよい。

・オレンジ…赤ほど激しくはないが、活動的な気分のときや表現欲求が高いときに選ばれる。この色が多く使われていたら、好きなことに取り組む意欲十分とみてよい。

・黄…幼児期によく使われる色。温かさを欲求する心理と関係がある。よく使われるときは、「私を見て!」というサインかも。
 
寒色系:穏やかさや落ち着いた気持ちと関係。このような色調を使いたがるときには、少し距離をとって静かに見守ってあげるほうがいい。

・緑…ゆったりした気分やマイペースなときによく使われる色。逆に、疲れているときにも、この色が欲しくなる。子どもが緑を好むときは、一休みしたいのかも。

・青…青とっても幅広い。明るい空色なら、さわやかな気分。はっきりとビビッドな青色なら思考力が働いているとき。もっと深い青なら、静かに自分の世界に入り込みたい心理状態のときが多い。紺色のような暗い青になると、家庭での躾の厳しさや学校の勉強等がやや重荷に感じられているかも。
 
・紫…赤(暖色系)と青(寒色系)を混ぜると出来る色。ふたつの要素を含んだ複雑な意味合いを持つことがある。心理的にもやや複雑な意味合いを持つことがある。例えば、やる気はあるけれども自身がなくて悩んでいるとか、不満や怒りを感じながら我慢しているとか、矛盾した心理状態を反映することが多い。心身のバランスを取り戻そうとしている状態。子どもが紫を好む場合には、エネルギーを充電してあげるつもりで優しく接してあげるとよいだろう。
 
・モノトーン(白や黒)…感情が内に秘められている状態。黒ばかり使うので性格が悪いということはない。緊張しているときや新しいことに挑戦するときなど気持ちを引き締めるときは、あまり派手な色は使わない。学習面で観察の工夫などに集中し知的な活動が優先している時期は、黒一色で絵を描く。緻密な作業に熱中する場合は、色彩はむしろ邪魔になるので黒一色で描き上げたりする。
 
●配色の意味
2色なら、関心事が二つ以上であることを反映している。
・人と人との関係が色と色の関係として表現されていると見立てることが出来る。
・配色の種類によって、そこに込められた感情を理解することも出来る。
 
●形やモチーフが語るもの
・太陽…温かい光のエネルギーを与えてくれる源。

・雲や雨…軽く流れている雲ならさわやかな気分の反映。暗雲がたれこめるような重苦しい表現なら子どもの心を曇らせることと関係している可能性。雨が激しく降る様子や冷たい行を描くときは、何か強いプレッシャーを感じていたりする場合がある。

・虹…楽しく開放的な気分が表れることが多い。

・花…花や植物は、人間の象徴として描かれることが多い。植物の描かれた状態=子ども自身の状態の分身。絵の背景に描かれることの多い山の形は、親の象徴であることが多い。

・家…1階建てなのか2階建てなのか。窓の描き方に、子どもが家庭に感じている気持ちが表れることが多い。

・橋…橋は二つの場所を繋ぐもの。しっかりした橋であれば、人と人との絆の深さを感じさせる。吊り橋のように危なっかしい橋の表現であれば人間関係への不安などを象徴する場合がある。また、橋は新しい場所へと渡してくれるものでもあり、子どもが新たなことに挑戦したりするときにも登場する。

・生き物、キャラクター…子どもの好むモチーフには心理的には本人の分身であると言えそう。そのモチーフ、キャラクターが絵の中にどのように登場しているかに注目すると解釈の仕方も変わってくる可能性あり。