千早 茜 「あとかた」
2013年8月13日
なんでかな、本題は“あとかた”なのに
“うたかた”だと思いこんで読んでた。
あとかた…もと何かがあった証拠として残っているしるし。形跡。痕跡。
うたかた…水面に浮かぶ泡。はかなく消えやすいもののたとえ。
読み終えた今、“あとかた”だなとはっきりと思える。
一つの物語なんだけど、ある男の死にちなんだ主人公が変わっていく展開。
こういうのチェーン・ストーリーっていうんだっけな。
最初に読み始めて、あ、この作風好きだなって思った。
人間の弱いところと人間同士でないと乗り越えられないものがあるというところ。
人間性に触るというこの感覚が好き。
痕跡が身体や現実ににある中での不倫と私のものにしたいといつか願う不倫は違うのかもしれない。
かたちから滲みでてしまうというか、滲み出てしまいたい感覚というのは誰しも持っているような気がする。
年齢っていうよりも、人は一つのかたちっていうのに慣れてしまうとかたちを残しながら別のかたちを手に入れようとするのかもしれない。
そういう風にも思える。
別にそれを壊したいと願ってるわけではないけれど、
壊すことで今あるかたちを確認したり、今ないかたちを求めるっていうような。
当然、そうなるとどこかに歪みは出てくると思う。
この物語に出てくる主人公の女性は冷めた感情を装った“いい子ちゃん”であるということ。
所詮、結婚なんてかたちだけのものじゃん。
所詮、不倫なんてめんどくさくない相手とするもんやん。
所詮…
でも、本当は不倫なんて望んでるわけじゃない、
自分に素直のまんまでいられなくなってるとき、今目の前にいる相手を向き合おうとする力の弱まるとき、
人って結構糸も簡単に不倫出来てしまうんかもしれんな。
好きな男性(ひと)によく見られたいとか、重たい女って思われたくない、
休みなくて疲れているだろうし、自分は元気を与えられる女性(ひと)でありたいとか。
別にやせ我慢しているわけじゃないけど、“いい子ちゃん”になのかもな自分。
でも、やっぱり出来るだけ会いたいし、自分一人を見ていて欲しいし、気にかけてもらいたいし、二人で色んなところ行きたいし、好きや、お前しかおらん、特別やって言って欲しい…
この気持ちを全面にぶつけたら確かに単なる自己愛なんかもしれん。
ただ、
こんな風に思う気持ちは我慢せなあかんことじゃないし、
そう思う自分がおってもええんよ。
それを知った上で、
ぶつけることがあってもいいんじゃないかな。
それらをどういう風にお互いでコミュニケーションしていくかについては
私もまだ分からんし、テーマなんやけどね。
あ、別に不倫の賛否両論なんて書こうとしてるわけじゃないねん。
自分ももしかしたら不倫してしまうかもなって思ってしまったので
ちょっと私なりに考えてみた。
やっぱり、素直な気持ちを表現したい。