山崎ナオコーラ 「私の中の男の子」
2013年8月4日
久々に、本を読みたいと思った。
あまりディープじゃなくて、日常的なんだけど非日常みたいなやつを。
でも、この本暗かったんだよねー。
たまたま図書館で手に取った本で、
「雪村には19歳まで性別がなかった」という冒頭に
何だか心惹かれて借りてみることにした。
本に集中する時間がやっと作れたことが嬉しかった。
やっぱり時々読書をするってのはいいもんだなって思った。
初めての作家だったけど、この作品はちょっとあんまり進まなかったんだな。
主人公に全く共感しなかったわけじゃないけど、何だか
後味も微妙で、趣旨がよく分かんないや。
っていうのがまず最初の感想だった。
前半は、
「…雪村が自分を、脳だけの存在、と思っていたからかもしれない。肉体がない、と思っていた。
たまたま脳の側にある、手や足やおっぱいって思っていて」
と言っていたのが、
後半は、
「雪村は…ただ頭の中だけで生きて、自分というものが存在しないがごとく振る舞っていた。手や足を動かすだけで、自分がここにいる実感が湧いてくる…」
っていう変化は興味深いよね。
頭のてっぺんから、足の指先まで血が通っているという感覚。
それは単に、肉体的な感覚のみではなく
精神的な統一が図られているという感覚、つまり自分で自分の体を意識できるという感覚。
ちゃんと自分の体が自分の体だと自覚出来ること。
それははっきりとした自覚である必要はないし、コントロール出来なくたっていい。
だって、感覚だもの。
おっぱいをそぎ落とすまでした雪村の心理は今一理解は出来ないけれど、
誰かと関わりながら雪村らしく生きる方向性を見出せたこと。
そういう終わり方で安心した。